未来精子22
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(3)

朝、七時過ぎに目をさますと、LDKから食器の音が聞こえた。
「早いな、何か作ってるのか?」
洗面所へ向かいながら、片手鍋を前にしている神矢のうしろ姿に声をかけると、
振り返らずに、「ただのコンソメ・スープです。卵入りの…」と、明るく答えた。
「ふうん、おれの分もパン焼いといてくれよ」
「はい」
─元気よさそうだな、よく眠れたらしい。
カーテンの半分ひらいた南窓から明るい空を見て、おれは、晴れときどき曇りってところか、
と心の中で呟いた。
「きのうは驚かせてすいませんでした」
おれが顔を洗って戻ってくると、神矢は軽食の支度の整ったテーブルにつき、
さわやかな笑顔で言った。
「驚いたなんてもんじゃないよ。ショックでなかなか眠れなかったぜ、ほんとに」
向かいの椅子に腰をおろして、おれはまじめな表情を保った。
「そうでしょうね……。悪い夢なんか、見ませんでしたか?」
「あー、そう言われるとなんか見たような気がするな……。えーと?」
 おれは頭の隅にかすかに残る、もやもやとした夢の残像を引き出そうとして、眉をしかめた。
「……女の夢かな……。べつに悪い夢じゃないよ、多分……。
佳い女が、おれを褒めてくれたような気がするな……」
仄かに温かくなめらかな肌の感触と、耳元に囁かれた、わけもなく快い言葉…
内容は思い出せないが、おだてるような、心のやすまるような言葉の流れ…を、
記憶の切れはしとして、なんとかたぐり寄せた。
「そういう夢なら、いいですね。……きのう言われた病院、近くにありますか?」
「病院? なんの?」
おれは、そんな話をしたかな?と思いながら、神矢が注いでくれた
コンソメスープのカップを引き寄せて飲み、トーストにマーガリンをつけて食べ始めた。
「薬の相談ですよ。性欲抑制剤みたいな薬があるかどうか、聞いてみればいい、って、
きのう言ったじゃないですか」
「ああ、そうだったかな……? そうだ、おれ、ついてってやるって言ったよな。
えーと、バス通り沿いに総合病院があるよ。車で五分ぐらいだろう」
「病院は混んでるでしょうから、先に薬屋で相談します。かまわないでしょう?」
さらっと言って、神矢はスープ・カップを取り上げ、ゆっくり飲んだ。
「うん、まあいいよ、それでも。
……おれ、よく似てるっていう君の子供を見てみたいんだけど、難しいか?」
なぜか病院という言葉からすぐに注意が離れ、おれは話題を変えた。
「そうですね……。いいですよ。幼稚園に入ってる子が三十五人いますから、
見ることはできます。ぼくは、無事を確かめるために、
ときどきあちこち行ってみるので、一緒に行ってもいいですよ」
「幼稚園の子だけで三十五人か、はんぱじゃないな……。
やっぱり凄まじいよな、百人の子持ちって……。
名前だけでもおぼえきれないだろう」
「それはおぼえてます。住所や電話なんかは、手帳につけてありますけど」
「百人分? その手帳、見せてくれよ」
「はい」
いやがるかと思ったが、神矢はためらわずにカップをおき、
はおっていたジーンズの上着の内ポケットから薄手の住所録を取り出して、
おれに渡した。
「ほんとだ、きちんと書いてあるな……。遠い所もあるじゃないか、札幌とか長崎とか。
引っ越しされちまったのか?」
「転勤があると、なかなかようすを見に行かれません。旅行のついでって感じになりますね」
「交通費がかかるな、宿泊費も……」
「お金の問題より時間のほうが……。百人の無事をチェックするのは、
一日一人だと、百日かかります」
「そうか、もし三百六十五人に増えたら、毎日会いに行っても、
一人には一年に一回しか会えないんだ、大忙しになるな」
おれはあきれながら笑って、住所録を神矢に返した。
「緒方さんが見たいんなら、今日、富士見町の幼稚園に行ってみますか? 
五才の子がいます」
神矢は光野(ひかりの)から五つのぼりの駅名を口にした。
「よし、つれてってくれ。ところでその住所録なんだけど、悪いやつの手に渡ったらヤバいよ。
そういうこと、わかってるのか?」
「恐喝されるかも、って意味ですか?」
「そうだよ。君もヤバいし、恐喝だと、母親が一番危ないだろう。
だんなにばらすぞ、って言われたら、金を出さなきゃならなくなるかもしれない」
「このこと知ってるのは緒方さんだけだから、大丈夫です」
神矢はいかにも無邪気に、にこっとほほえんだ。
「でもなぁ、現にあの、木下だっけ、気がついてるだんながいるんだよ? 
手紙を持ってきた探偵親父も知ってるのかもしれないし、
どこからすべてがバレるかわかんないぜ。おれが、どうしても金が欲しくなって、
君を裏切ることも、可能性としてはあるんだからな……」
そう言ってしまってから、おれは、なんでわざわざ自分の本心をさらけ出しているんだろう、
しゃべり過ぎだぜ、と後悔した。
「緒方さんは信頼してます。でも、心配してくれるなら、これ全部暗号に変えますよ」
住所録を内ポケットにしまい、神矢は明るい声で言った。
「そのほうが絶対いいな。百人のだんなの中に、有名人はいないのか?」
もし、タレントや政治家が混じっていたら、それこそ金になるスキャンダルだ、と考えた。
「仮の父親はよくわかりませんけど、未婚の母でテレビにわりと出てる人は、一人います」
「ほんとか? 誰?」
「ジューン・ヒギンズ。知ってますか?」
「知ってるよ、おれ、ファンだよ。じゃ、あの未婚出産の父親は、
香港俳優のトミー・ナントカじゃなかったのか?」
知的美人のマルチ・タレントで日本生まれのイギリス人、
ジューン・ヒギンズは、四、五年前に相手の名を明かさずどうどうと妊娠、
出産し、スキャンダルを逆手にとった形で、プライバシーを重んじる強く美しい女性として、
同世代の女達から高い支持を受け続けていた。
「トミーはただのボーイフレンドだって、ジューンは言ってました。
自分の子の父親にしたい男じゃなかったらしいです」穏やかに、神矢は告げた。
「君は、自分の子の父親にしたい男だったのか? 
四、五年前だと、ジューンは二十三、四で、君は十九か二十? 
若いな……。いったいどこで知り合って、そんなことになったんだよ?」
「テレビ局のすぐ近くのブティックから出て来るのに、ちょうど行き合って、
サングラスをかけていたから、ぼくは最初、彼女だとわからなかったんですけど、
声をかけて、喫茶店に一緒に行きました」
「そんなかんたんに? まるでふつうのナンパ待ちの女の子じゃないか、まいったな…。
それで、すぐベッド・インできたわけか?」
「そんなにすぐじゃないです。三回目に会った時だから、十日ぐらい待ちました」
「充分に『すぐ』だよ、初対面からたった十日? 
それでやっぱりきれいに別れられたのか?」
「それはぼくの条件ですから。それでもいいって納得してくれないと、子供は作れません。
ただ、子供のことで本当に助けが必要なら、ぼくは会いに行くつもりです。
ほかの子もみんな、そうですけど」
ジューンは、子供の父親の認知など、役所に届けようが届けまいが個人の自由だ、
という態度をとっていたことを思い出し、
おれは、そういう意味では神矢につごうのいい女にちがいない、と思った。
「君が、女の扱いが相当うまいことは認めるけど…
きのう、見せてもらったからな…うまいだけじゃなくて、
催眠術的な要素があるんじゃないのか? もしそうだったら、ほとんど犯罪の域に入るぜ?」
「ぼくは、彼女達のいやがることは、ひとつもしていません。
ぼくの子供はみんな健康で元気だから、後悔してる人もいないはずです」
「そう言い切れるのか? 一年に数えるほどしか、ようすを見に行ってないんだろ? 
悩んでる女がいても、君にはわからないじゃないかよ」
「…母親とも、ときどき電話連絡してるんです。直接会うことはないけど……。
ぼくの助けが欲しいなら、彼女はそう言えますけど、まだ一度も求められていません」
「それは知らなかった、そういうコンタクトは続けてるんだ。ジューン・ヒギンズとも?」
「全員です」
「まあ、多少の責任感はあるんだな……。おれの質問に答えてないぞ、
君には催眠術的な力があるんじゃないか?って聞いたんだ」
「……ぼくに、あると思いますか?」
神矢は聞き返して、正面からおれを見つめ、
謎めいたかすかな笑みを口許に浮かべた



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【2008/04/02 00:00】 | 未来精子第3章 | トラックバック(0) | コメント(0)
未来精子 23

「……あるな、きっと…。
今気がついたけど、おれが君の言うことを丸々信じてるのも、そのせいかもしれない。
ふつうだったら、百人も子供がいるなんて、証拠無しに信じないもんな。
おれの性格から見ても、それほどお人好しじゃないはずだ」
「それは違いますよ。ぼくは嘘をつくのは嫌いなんです。
ぼくが本当のことをうちあけてるって、緒方さんにわかるのは、初めに言ったように、
緒方さんとぼくの相性がいいからです。
大体、子供のことでぼくが嘘をつく理由なんかないでしょう?
手帳も見せたじゃないですか。
あの中から何人でもピックアップして、緒方さんが自分で調べてみれば、
みんなぼくに似てる女の子だって、すぐわかりますよ」
「おれに、ひとつも嘘をついてない?」
「ついてないですよ。嘘なんか、つきたくないです。緒方さんが好きですから」
「好きと、嘘をつかないってことは、まったく別問題だぜ」
「ぼくには同じ問題です。好きな人には嘘はつきたくありません」
さらっと、しかし真情を感じさせる声で言われて、
おれは自分が温かく動揺するのを意識した。
「よかったよ、おれは女じゃなくて。
女だったら、征服されてたかもしれない、危なかった」
おれは必要以上に大きな声で言葉を返し、神矢から目をそらして、
さめかけたトーストの残りをかじった。
「……あなたに嘘はつきたくないから、白状します。
確かに、催眠術師みたいな力、ぼくにはあります」
 おれはトーストのかけらを飲みこみ、視線をあげた。
「子供を欲しがってる人がわかるのは本当だけど、そういう人に、
『ぼくの子供』をすごく欲しいと思わせる力が、あるみたいなんです」
「……それじゃ、べつにその女の結婚相手や恋人の精力が弱くなくても…
事情がなくても、君の子供を産みたいって思わせられる……? 
だったらほんとに際限なく、子供を増やせるんじゃないか、それじゃまるで…」怪物、
という言葉が浮かび、おれは一瞬、恐れに似た感情をおぼえた。
「だから、このまま続けていかないように助けてほしいって、お願いしたんです」
神矢は真顔になって、くっきりとした瞳に『頼っているんです』という表情をあらわした。
「おれは、できることならする、って言ったじゃないか…」
そうさ、かんたんにできることだけだ、危なくなったら手を引くぞ、
と、おれは心の中で続けた。
「うれしいです。あなたに会えて、ほんとにラッキーだと思います。
安心して話せる友達、いなくって、ずっと独りだったから……」
友情を放射しているひかえめな笑みに、気持ちがゆるみそうになり、
おれは『怪物の孤独』みたいなもんだ、へたに同情するな、と、自分に警告した。
「友達って感じは、悪いけどしないな。かまいたくなるのは認めるけど」
おれは冷静な口調で言って、両手をはたいて立ち上がった。
「それに、あなた、って呼ぶのはやめてくれよな。
別れた女を思い出して、うしろ向きな気分になるんだ」
「緒方さん、のほうが、やっぱりいいですか?」
神矢はスープの残りを飲み、おれを見上げた。
「緒方さんでもいいし、名前でもいいよ。おれの場合は親しくなると、
たいがい名前で呼ばれるけど」
「詠二さんですね。それじゃ、ぼくのほうも名前で呼んでください」
「燎くん? 燎さん、がいいのか?」
「燎って呼び捨てでいいです。年下ですから」
「燎……。そうだな、神矢くんより短くていい」
おれは同意し、空の皿とカップを流しへ運んだ。
「ぼく、洗います。おいといてください」
神矢も立ち上がり、マーガリンとジャムの壜を冷蔵庫へしまった。
冷蔵庫の前から振り返った神矢の視線が、和室へ行こうとしたおれの視線と合った。
手を伸ばせばとどくほどの距離をはさんで、神矢は、五センチほど背の高いおれを、
思案深げな表情で、じっと見つめた。
「……なにを考えているんだ?」
こいつには魅きつけるものがある、さりげないのに強烈ななにかが、と、おれは思った。
「これから先、どうなるんだろう、って……。それだけですよ」
虚無的な小声で答え、どこか不安定な危なげを感じさせる、かすかな笑いを浮かべた。
「そんなことわからないさ。なるようになるだろ」
つきはなす口調でおれが答えると、神矢はうなずき、
南窓の前へ歩いて、カーテンをいっぱいに引き開けた



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【2008/04/03 00:00】 | 未来精子第3章 | トラックバック(0) | コメント(0)
未来精子 24
富士見町の幼稚園へ行ってみるためにマンションを出たのは、八時過ぎだった。
食事のあと、おれは朝刊を読むふりをしながら、神矢の特殊な『力』について考え、
上手に利用すれば金と結びつけることができそうだ、と結論づけた。
ようするに、女に対して、ものすごく強いカリスマ性を発揮できるんだろう? 
つまり、女向け商品の超一流セールスマンになれる、ってことじゃないか。
うまくやれば濡れ手に粟だぞ。
現実性のある甘い夢にぞくぞくして、おれは、ついゆるんでくる口許を抑え、
表情を引きしめて出かける用意をした。
光野駅へ向かって並んで歩きながら、神矢が、
「これから見に行く子は、田中萌って名前です」と教えた。
「ふうん。母親はどこでハントしたんだ?」
「彼女は、地下鉄の銀座駅の連絡通路で……」
「みんなせかせか歩いてるところで? とおせんぼでもしたのか?」
「近いですね。地上へ出る階段の下の所で、ぶつかりそうになったんです」
「なんて言ったんだ?」
「いつも同じようなことです。もしよかったら、コーヒーでも飲みませんか、って」
「すぐOK?」
「はい。彼女はデパートへ買物に行く途中で、大急ぎってわけじゃなかったから……」
「それでかんたんにベッド・インできたのか?」
「彼女の体調のタイミングがよかったので、その日のうちに」
「体調って……ああそうか、子供のできやすい日って意味だな」
「そうでないと、ホテルへ行っても無駄になりますから」
「無駄ねぇ……。君…燎には、純粋に女の体を楽しむって感覚はないのか?」
「楽しんでますよ、いつだって。女の人を征服する感じは好きです」
神矢は笑いを含んだ声で言った。
「だって、子供のできない日は、抱かないんだろう?」
新婚カップルのような二人づれとすれ違い、おれは声のトーンを落とした。
「目的が子供ですから……。彼女達に、恋人みたいな愛情を感じてるわけじゃないので、
それはしかたないです」
「ふつう、人間てのはほかの動物と違って、生殖目的以外に抱き合う回数のほうが、
圧倒的に多いんだぜ?」
「ぼくはふつうじゃなくて、ほかの動物に近いんでしょう。それに……」
言葉をとぎらせた神矢に、おれは、
「それに?」と先をうながした。
「……恋愛って、よくわからないんです……。どういうものなんですか、恋って?」
「そりゃまあ、一般的には、大好きだからいつも一緒にいたくなるとか、
独占したくなるとか、相手のために何でもしてやりたくなるとか、
相手に自分を一番好きでいてもらいたいと思う、とかだろうな」
「……そういう気持ちになった女の人は、いないですね」
「それじゃ恋愛したこと、ないんだよ、まだ。
でも、もしそういう相手にめぐり会ったら、かなり問題だな」                          
「どうしてですか?」
「あのな、恋人にした男に、もう百人も子供がいるってわかったら、
どんな女でも逃げると思わないか?」
「……そうですね、きっと」
「それとも、催眠術みたいな力を使って、引き止めるか? 
それもむなしいんじゃないかな、好きな相手をだましてることになるんだから」
神矢は少しうつむき、考えこむ表情になって、そのまま駅まで無言をとおした。
おれは、まだ期限の残っている定期券を使い、神矢は切符を買って、
ホームへ降りると、すぐに上り電車が入ってきた。
「電車に乗るの、久し振りな気がするよ。一週間ぐらい乗らなかっただけで」
ラッシュのピークは過ぎているが、座席は空いていない車両に乗りこみ、
神矢に話しかけた。
「通勤に車は使わなかったんですか?」
おれと並んで左手で吊り革をつかみ、神矢は尋ねた。
「通勤にはほとんど使わない。呑んで帰ることも多かったし、
都内の道路は混んでるし……。おれの車、かなり古いから、まともに使うつもりなら、
そろそろ買い換えたいんだよな」
神矢はうなずいて、斜め前の座席にすわって携帯でメールを送っている、
二十歳そこそこに見える女の子へ視線を向けた。
ひらひらのレースの衿のついた赤いブラウスに、紅白のミニ・スカート。
ベージュの短い上着にピンクのソックス、水色のスニーカー。
おれにはよくわからないが、ブランド物なのかもしれない横縞銀色の
ショルダーバッグを膝にのせている、茶髪の女の子は、平凡な顔立ちを、
上手な薄化粧で可愛らしく演出している。
神矢が、やっと聞こえるぐらいの小さなため息をついた。
女の子はメールを終わらせ、携帯をバッグにしまい、ふと、神矢を見上げた。
薄いオレンジ色のアイシャドーをつけた目が、驚いたようにまたたき、
数秒見つめてから、困ったような表情で視線を膝のバッグへ戻した。
「おい、誘うのはやめろ」おれは神矢の耳に口を寄せ、きびしく囁いた。
神矢は、はっと顔を上げ、ゆっくり、
「すいません……」と応えた。
「あっちへ行こう」
連結部のあたりにすきまがあるのを見て、おれは神矢をうながし、移動した。
男ばかりがすわっているシルバーシートの前に止まり、
「あんな若い子、冗談じゃないぞ」と、小声で叱ってやった。
「すごくいい母体なんですよ、ぼくにはわかるんです……」
玩具売場から引き離された子供のように憮然として、神矢は呟いた。
「他人の一生、滅茶苦茶にするつもりか? あんな若い子が、
未婚の母になりたがってるわけあるかよ?」
「未婚とは限りませんよ。十八で結婚する人もいるんですから、訊いてみないと……」
「だめだ。やめるって決めたんだろ? これ以上子供を増やすなよ」
「わかりました。我慢しますから……」
神矢は唇をきつく結び、移り過ぎる景色へ目を向けた。
少年のようにきめのこまかい色白の肌が、うっすらと紅潮している。



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【2008/04/04 00:00】 | 未来精子第3章 | トラックバック(0) | コメント(0)
未来精子25
電車が次のホームへ入り、停まって、ドアがひらいた。
『いい母体』の女の子が席を立ち、神矢に一番近い出口へ進み、
じっと顔を向けてから、ゆっくりホームへ降りた。
ドアが締まり、再び電車が動き出してから、
神矢は吊り革を持っていないほうの手をすっと伸ばし、
おれの垂らした片手をさりげなくつかんだ。
「なんだよ?」
なにかの合図かと思い、おれは眉を上げた。
「なんでもありません……」
「なんで手をつなぐんだよ?」
「こうしてると落ち着くんです……。いやですか?」
「いやだよ、おれは落ち着かない、恥ずかしいよ、こんなの」
「少しだけ、お願いします。接触欲求が起きてるみたいで……」
「禁断症状かよ? まいったな」
「すいません」
「しょうがないな、まあいいや、それじゃ……」
おれは軽い吐息をついた。白く細長い繊細な神矢の指が、
おれの手を包んで、握り直した。
ヤバいな、こいつの手の感触が、ちっとも不愉快じゃないってのは…。
こいつは『怪物』で、外見がやさしそうに色っぽくても雄の固まりなんだから、
倒錯しないように気をつけろ、と、おれは自分を戒めた。

少しだけ、と言ったにもかかわらず、富士見町駅に着くまぎわまで、
神矢はおれの手を離さなかった。
「もういいだろ」
おれはぶっきらぼうに言って、シルバーシートに大股びらきですわっている、
性格と頭以外に悪いところはなさそうな中年男の視線を感じながら、
かすかに汗ばんでいる自分の手をもぎ離し、ズボンにこすりつけて拭いた。
 富士見町のホームへ降りると、神矢は、
「こっちです」と言い、商店の少ない北口の改札から外へ向かった。
「近いのか?」
「そんなに遠くはないです。母親の家のほうが近いですけど、前は通らないで行きます」
「仮の父親はサラリーマンか?」
「公務員です、確か。……区役所に勤めてると思います」
「ジューン・ヒギンズみたいに、未婚の母になってるのは、何人もいるのか?」
「……ジューンを入れて、六人。ほとんど三十代の人です。四人はバツいちの人で、
男はもういいけど、子供が欲しかった人ですね」
「生活がきびしいんじゃないのかね、男がいないと」
「ぼくが金銭的に少し援助してるのは、二人だけです。ある程度裕福なことも、
母親を選ぶときに頭に入れるので……」
「どのぐらい援助してるんだ?」
「月、五万円ずつぐらい、振りこんでます」
「一年に百二十万か。きつくないか? 遺産を使ってる?」
「いや、実はぼく、お金に困ること、あんまりないんです。
詠二さん、そのこと、もうわかってるんじゃないですか?」
初めておれの名前のほうを呼んだ神矢は、急に親しさを増したようすで、
歩きながらにこりとした。


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【2008/04/05 00:00】 | 未来精子第3章 | トラックバック(0) | コメント(0)
未来精子27
―明日、木下ってやつと会う場に居合わせたいけど、無理か? 
少し離れた所で顔を見るぐらいならできそうだが……。
どんな話をするのか、聞きたいよな。
おれは、自分の好奇心を満たす手段はないかと考えながら、
しばらく無言で歩き、駅が近づいてから、
「あのなぁ、明日のことだけど、おれがついていくのはだめだろうな?」と訊いてみた。
「……同席はやめたほうがいいと思いますけど、
他人みたいな顔ができるんなら、近くにいてもかまわないですよ。
話すことを聞くのは、ちょっと無理でしょうけど」
「聞いてみたいけどな……。盗聴器、買ってくるかな、秋葉原で」
「あ、それいいかも。買ってきてください、これからもなんかの役に立ちそうです」
「マジで欲しい? じゃあ、これからアキバへ行こうか」
「そうしましょう。それで向こうの近くで西崎さんと会いましょう。紹介しますよ」
「雇ってる画家、西崎っていうのか?」
「ええ。たぶんつかまると思いますから……」
神矢はジーンズの尻ポケットから極小薄型の携帯を取り出し、
歩きながらプッシュした。
「……もしもし、燎です。……ああ、その件じゃなくて、
紹介しておきたい人がいるんですが、今日の予定はいかがですか? 
……昼間ならかまわない? ちょうどいいです。えーと、
上野の〔ソワール〕で、一時頃は? ……はい、そうですね。
いや、それは適当に、まかせますから。……それじゃ、あとで」
携帯をポケットへ戻し、神矢はおれに、
「上野の画廊についている喫茶店で、一時頃です」と伝えた。
「男なんだろう、そいつ? いくつぐらいの?」
携帯で落ち着いた会話をしてるな、こういうところはまるでビジネスマンっぽいんだが、
と、おれは神矢のことを思い、見知らぬ相手に対する興味をつのらせた。
「三十だと思います。ちょっと精悍で、一匹狼って感じもありますよ。
まあ、会って、詠二さんが自分で判断してください。あ、電車が来ます…」
神矢は急いでキップを買い、定期券のおれのあとから早足でホームへ入り、
のぼりの車内へすべりこんだ。
「詠二さんは、絵にあんまり興味がないんですよね。
かえってそのほうがぶつからなくていいかも……」
さっきのより混み合っている車内で、神矢はおれに横顔を向け、独りごとのように呟いた。
秋葉原までの約一時間、神矢は無口になり、おれがなにか話しかけても、
あまり実のない短い言葉でしか応えようとしなかった。
しかし、電気街へ着いてからは、神矢はおれ以上に目新しい電気製品・電子機器に
好奇心をそそられたようすで、いかにも楽しそうに並んでいる店々を次々のぞいて歩き、
おれは小さくて性能の良い盗聴器を見つけ、神矢は、そろそろ欲しかったんです、
と言って、最新型のノート・パソコンを買った。
駅の近くの古い食堂で昼食を済ませると、約束にちょうどまにあう時刻になったので、
上野駅へ向かった。

「御徒町で降りても、同じぐらいの距離なんですけど」
神矢はそう言って、いつもごみごみと混雑している上野の商店街を抜け、
七、八分歩いてから横道へ曲がり、新築マンションの一階の角を占めている
画廊〔ソワール〕のドアをくぐった。
「やっぱり先に来てる……」神矢は笑いを含んで呟いた。
小さな画廊の半分を使っている小さな喫茶店…というより休憩所…
のガラスの仕切りの内側に、小さな卵形のテーブルについて、
独りだけの男の客が、長い足を高く組んですわっているのが見えた。
「どうも」
神矢はおれの先に立って男へ歩み寄り、明るく呼びかけた。
「どうも……。ちょっと久し振りじゃないか? たまには遊びに来いよ」
男は愛想のない不満げな声で言い、神矢をじっと見つめた。
三十才と聞かされていなければ、まだ充分二十代に見える尖った雰囲気の顔つきをして、
ある種のロック歌手のように腰が細く、痩せて骨張っている。
服装は、芸術家らしいと言えなくもないラフなTシャツに、色の薄いジーンズ、
七分袖の真っ黒な上着に、ブランド物のスニーカーをはいている。
「こちらが西崎幸雄さん。この人は緒方詠二さん。
これから一緒に仕事してもらうことがあると思うので、よろしくお願いします」
神矢がマイペースにおれ達を引き合わせ、華奢な椅子にさっさと腰をおろした。
「あ、そう、仕事仲間、増やすのか」
西崎は挨拶代わりにおれに片手を上げ、その手をぼさついた茶色い前髪へ持っていき、
痩せた指先でかき上げた。
「そうなのか? 仕事って、おれはまだ具体的になにも聞いてないんだけどね」
おれは、意識して穏やかな口調で神矢に訊きながら、余っている椅子にすわり、
近づいてきた一人だけのウェイトレスに、コーヒーを注文した。
「もちろん、いやならべつにいいんですけど、詠二さん、今ちょうど失業中だから、
かんたんな仕事を手伝ってもらえないかと思ったんですよ。前の会社の月給以上、
払えると思うんですけど、どうですか?」
「そりゃあ、かんたんなのに前より収入がいい仕事をやりたくないか、って言われたら、
ふつう、やりますって言うだろうな」
おれは、こっちを見ている西崎の探るような視線を気にしながら、平静な声で答えた。
「失業中? なんかドジなこと、やらかしたの?」
西崎が、まるでけんかを売っているようなぞんざいな口調で尋ねた。


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【2008/04/07 11:00】 | 未来精子第3章 | トラックバック(0) | コメント(0)
未来精子28
「単なるリストラだよ。同期の三分の一はクビになった。
まあ、ドジと言われれば、否定はできないかもな」
挑発にのらないよう、おとなの態度を保つ努力をしながら、おれはにっこり笑ってやった。
「単なるリストラね……。専門は?」
せせら笑うように唇を歪め、西崎は上着の外ポケットから外国煙草の箱を出した。
「小さな商社の営業系だったから、専門てのはそれほど……。
絵のことなんかは全然わからないし、おれに手伝えることがあるのかね」
おれは、不愉快な男から神矢へ視線を移し、尋ねた。
「ぼくの秘書みたいな人になってくれませんか?
そのうち土地や家を買うことがあると思うんですけど、
そういうときに、ぼくの代わりに名義人になってくれる人が欲しいんです。
大きな買物をするには、ぼくはまだ若いから、怪しまれたくないんですよ。
つまり、お金の出所とか、税金対策なんかですね」
「名義人は、おれじゃ信用できないのか?」西崎が口をはさんだ。
煙草の封を切り、荒っぽく叩いて一本取り出し、百円ライターで火をつけた。
「西崎さんも見かけが若いから、ちょっと重みがないと思うんですよ。
アナーキーな感じがあるし……。
その点、詠二さんのほうがふつうっぽくて向いてます。違いますか?」
きっぱり言って、神矢は西崎の煙草のけむりにかすかに顔をしかめた。
「おっと、ごめん。嫌いだったな、煙草は……。
しばらく会ってなかったから、うっかりした」
「この前会ったの、九月半ば頃でしょう? つい最近じゃないですか」
「ほんの三十分、外でね。家のほうに全然来てくれないのが不満だな。
見捨てられると寂しいんだよ、おれの数少ない友達だからな……」
あからさまな媚びを含んだ口調で言い、
西崎は、一服しただけの煙草を灰皿に押しつぶした。
「また近いうち、遊びに行きますよ。油絵のほうは新しいの、増えましたか?」
「燎がまだ見てない新作は、小さいやつが一点だけだな。
一応売り物になると思うよ。他人様の絵は、報告した通り、
二十二枚も溜まってる。そろそろさばこうぜ」
「そうですね。また動きましょう……」
神矢はデミタスのコーヒーに砂糖を入れて飲み、ふと気がついたようにおれを見て、
「そういえば、詠二さんは煙草を吸わないですね。昔からですか?」と訊いた。
「いや、禁煙中なんだ。もう十回ぐらい禁煙してる。一番最初は二十歳のときだ」
「ほーう、二十歳になったら禁煙ね。
おとなになってまで煙草を吸ってるやつはバカだ、ってことだよな。
でも、国がバカの税金をおおいにあてにしてるから、
国民としては煙草を吸うのが義務なんだ。わかるか、燎?」
「けむたいのが嫌いなだけですよ、ぼくは……。
西崎さん、詠二さんに名刺を渡してあげてください」
「けむりが出ない煙草は煙草じゃないからしかたないだろ。
…はい、こういうもんです、どうぞよろしく、と」
西崎は内ポケットから大理石模様の入ったきれいな名刺を取り出し、おれにさし出した。
おれは、形だけ礼儀正しく、財布から自分の名刺を出し、
「おれのは辞めた会社のだけど、携帯ナンバーは生きてるから」と言って、渡した。
「肩書のない名刺のほうが、上流社会向きなんだよ」
名前と自宅の住所、二種類の電話だけを記した自分の名刺に顎をしゃくって、
西崎はつまらなそうに言った。
おれは西崎の名刺を財布にしまい、
「ほんとの上流の人は、ほとんど名刺なんか持たないな」と、反論してやった。
「ぼく、持ってないですよ、名刺」神矢がほほえんだ。
西崎が、
「そうそう、燎は生まれつき上流だから、名刺なんか必要ないってことだ」と、
冗談とも本気ともつかない口調で言った。
「あ、あの人、前にもここで見たことありますね……」
神矢は画廊のほうへ視線を移し、立ち上がって、テーブルから離れた。
ガラスの仕切りの向こう側へ行って、
和服姿のおっとりとした中年の女客へ歩み寄り、何か話しかけた。

−子供を産ませたい女じゃないよな、年上過ぎる……。


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【2008/04/08 11:00】 | 未来精子第3章 | トラックバック(0) | コメント(0)
未来精子29
おれは、警戒心なくにっこり笑って神矢に応えている女を眺めてから、西崎と目を合わせた。
「……キャッチ・セールスの天才だ、燎は」
西崎は急になれなれしく前かがみになって、囁いた。
「彼のこと、どの程度知ってるんだ?」
おれも、心持ち顔をつき出し、小声で訊いた。
「あんたは?」
西崎は横目ですらりとした神矢のうしろ姿を眺め、訊き返した。
「それほど詳しくはないな。知り合ったばっかりだから……。
女に絵を高く売って稼いでいるのは、聞いた」
「どこで知り合ったんだ? おれは美術館だが」
「駅のホームさ」
「ふうん? まあどこでもいいけど……。
燎が男をつれてきたのは初めてだから、妙な感じだよ」
「おれに仕事を手伝わせたいんだろう。そう言ってたじゃないか」
「まあね。手伝う気、あるのか?」
「断る理由もないからな。君は、おれが入ってくるのはいやなんじゃないのか?」
「……べつに。おれには決定権なんかないしね。おれも燎に使われてるだけだから。
実際、気分次第で、いつお払い箱になるかわからない。
充分な金はもらってるから、文句は言えないんだが……」
神矢が女との会話を終え、戻ってくるのを見て、西崎は身を引いた。
神矢は腰をおろして、西崎に、
「このすぐそばに住んでる人でした。〔評価B〕ですね」と報告した。
「なんだそれ?」
「十万単位の絵なら、すぐ買ってくれそうな客、ってことだ。
〔評価A〕なら百万単位、〔AA〕なら、それ以上」
西崎の説明を聞いて、おれは神矢に、
「そんな商売、いったいいつからやってるんだよ?」と訊いた。
「三、四年前から、ぼちぼちです。
西崎さんに手伝ってもらうようになってからは、二年近く経ちますね」
「それで、純益はどのぐらいなんだ?」
「ぼくの資産を知りたいんですか? まだ一億ぐらいですね」
「……あっさり言うんだな」
おれは、自分のささやかな預金残高を思い出し、
気持ちを落ち着けるため、コーヒーの残りを飲み干した。
「ちなみにおれは二千万ぐらい、分け前をもらってる。
一年で一千万の計算だから、この不況の時代には上等の雇い主様だ。
おれが独りで自分の絵を売ってるだけだったら、収入はその十分の一ってところだろうな」
西崎の声に、はっきりと自嘲の響きが混じった。
「西崎さんのみたいな本格の油絵は、有名なコンクールで賞を獲ったりしないと、
なかなか高い値段をつけてもらえないですからね。
実力があっても収入に結びつかない芸術家は、山ほどいるじゃないですか。
…それじゃ、これからは、詠二さんも仕事仲間っていうことで、かまいませんね」
神矢は、おれ達年上の男二人に、満足そうな笑みを向けた。
西崎は、
「オーケー」とひとこと言って、おれに向かって、ばかにしたようなウインクを送ってきた。
「どんなもんかな、こういう偉そうな若者が、ボスっていうのは?」
おれは、神矢の態度の大きさと、西崎の屈折した雰囲気が気にさわり、笑顔で言ってみた。
「偉そうなほうがボスらしいんじゃないのか? 実力があれば、年齢なんて関係ないさ」 
西崎が、見かけによらずもっともな答えを返し、
煙草の箱を取り上げ、許可を得るように神矢を見た。
「どうぞ。ぼく達はそろそろ行きますから」
「そうか。今度はいつ会える?」
一転して、西崎は神矢を、焦がれるようなひたむきなまなざしで見つめ、熱心に尋ねた。
「来週……。二、三日中に電話しますよ」
「家に来てくれ…溜まってる絵をチェックしに来てくれよな」
「そうですね」
神矢から目を離さずに、うわの空のようなようすで煙草に火をつけようとしている西崎へ、
軽くうなずき、神矢はおれを手振りでうながし、立ち上がった。
「あんたも来てくれよ、おれの絵を見せるから……」
おれの背中にかかった西崎のつやのない声は、
『どうせおれの芸術性は、あんたにはわからないだろうけど』と言っているように聞こえた。

      ・・・・・・・・・・

母親は、三歳になった女の子を幼稚園へ入れた。
年長組の四、五歳児と比べ、まさるとも劣らないほど女の子は賢く、体つきもしっかりしていた。
女の子は人見知りもなく、すぐほかの幼稚園児に溶けこみ、楽しく遊びまわった。
女の子が乱暴な男の子を見つめると、その子の目に不安とおびえの色が走った。
男の子をあとずさりさせる快感を、女の子は自分の内にひそめておいた。
 


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【2008/04/09 11:00】 | 未来精子第3章 | トラックバック(0) | コメント(0)
冬杜燈霧のクィアな世界


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プロフィール

Author:冬杜燈霧          (ふゆもり とうむ)
1 月9 日東京生まれ
山羊座 O型

冬杜絵巳子(ふゆもりえみこ)の  ペンネームにて次の八冊を刊行。
(現在は発売中止。書店には無いが、図書館での在庫多数有り)

'86 [砂上楼閣の男‥ケン&ボスク]  集英社
'93 [クイン・ジュノー(1)無心の誘惑者]  白泉社
'94 [クイン・ジュノー(2)魔性の枷]  白泉社
'95 [クイン・ジュノー(3)妖かしの遺剣]  白泉社
'95 [クィーラの花冠(1)至上の恋人]  講談社
'95 [クィーラの花冠(2)翡翠色のためらい]  講談社
'95 [クィーラの花冠(3)もう一人の魔性]  講談社
'96 [クィーラとどろぼう鳥(中篇集)]  講談社

近年、冬杜燈霧に改名、多くの作品を書き続ける。

'88 [ケン&ボスク(2)十三月の殺意]
'97 [クイン・ジュノー(4)忘我の森]
'97 [永遠の夏・無限の街]
'98 [キアロ・スクーロ(明暗)]
'03 [血の夢]
'05 [夢胞子]      共に未刊行

'03 長編SF ファンタジー [未来精子] を、幻冬舎ホラー・サスペンス大賞に応募。
最終選考四作品に残る。

2008年3月31日、 [未来精子]を刊行。

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